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 しみじみ、といった感じで俺を見て、鼻の下をこする部長。そこに揚げ出し豆腐や刺身の盛りあわせが来た。 「来週中には退職願を出してくれ。最後までしっかり頼むな」 「分かりました」  優しい目で俺を見ていた部長の表情が、またガラッと笑顔に変わる。 「さ、とりあえずこの話は終わりだ。どんどん飲んで食え」  部長は最初から、二人だけの送別会みてえなつもりでこの店に連れてきたのかな。俺の都合のいい勘違いでもいい、部長とサシで飲むなんてもうないかも知れないから楽しもう。
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