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四
解散後、清水加奈が沙也加に言った。
「沙也加あ、あんたはどうしてそんなに強いのよ。わたしらなんか、全然かなわなかったじゃないか。どこでどんな練習してたのさ」
沙也加は全員との対戦成績十四試合中十二勝。最終決定戦は六試合中五勝。堂々の一位通過であった。
「そんなことない。自分は弱いと思うから練習するだけだよ」
「またまた。沙也加が弱かったら私らどうなるのよ、どんな練習してたのよ。その身体もそうだしさあ、部活がなかった間、誰とも連絡とらなかったでしょうよ」
何やってたのよと加奈は沙也加を問い詰めた。
「ある意味敵だからね」
それはそうだけどさあと加奈は口を尖らせる。
教えてくれてもいいじゃんかと加奈が駄々をこねていると、二人の周囲に皆が集まってきた。
「もういいじゃん、選手も決まったことだし、教えてよ」
本当は言いたくなかったが、結果は出たし、皆と連帯感を持ちたかったこともあり、沙也加は言った。
「警察の道場に行ってた」
「例のあそこ?」
「違う。もっと遠いところ。部活が停止中だったから、見つかると面倒臭いから。お父さんが手配してくれたの」
「げ、ひとりで警察道場に行ったってこと?」
沙也加は「ん」と頷く。
「そんなことするんだ」
「勝てるわけない」と下級生たちの声が上がった。
「やっぱりね」三年生はさもありなんという顔をしている。
「お父さんに連れられて行ったんだけど、うん、わたしもひとりじゃあたいへんかもなあって思ってた。でも、同じことしてる人たちがいて、その人たちとも稽古してた」
「お父さんの知り合いってこと?」加奈が訊いた。
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