第一話  

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第一話  

ちろが死んだ。私の腕の中で。 「愛犬」の一単語では言い表せないくらい、私の全てだった。 まだ10歳だった。もう少しくらい、一緒にいられると思ってた。 一昨年の秋、お父さんが死んだ。 もうこれで、お母さんと私はふたりぼっちになってしまった。 お母さんは、私に涙をこぼす姿を見られたくなかったのだろう、強い振りをしていた。私にはそれが、手に取るように分かった。
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