1.初恋と偽装恋人

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「いや何してんの!?バカじゃないの!?」  その日、舞ちゃんに電話で報告したら、ものすごく怒られた。 「騙されてんのよ!!」 「そんなことないわ」 「ある!!だって美容師でしょ?絶対チャラいに決まってる!」  そんな風には見えなかったけれど。  むしろ誠実そうに見えた。 「永美里は男知らないからよ!純情そうだから騙せると思われたのよ」 「でも、その人も親に結婚迫られて困ってるって」 「嘘でしょ!簡単に信じるな!」  舞ちゃんってば、酷い。 「美容師なんて付き合っちゃいけない3Bの一人よ?絶対ヤバいから!!」 「なあにそれ?」 「そんなことも知らない夢見がちの世間知らずなのに……絶対やめときなさい!」 「でも、もう約束しちゃったの。明日会ってこれからどうするか決めようって」 「ハア!?」 「大丈夫、私舞ちゃんが思ってるよりはしっかりしてるわ」 「いやその自信どこから!?」 「心配しないでね」  そう言って電話を切った。  舞ちゃんはまだ言い募りたい雰囲気を感じたけど、会ってもいないのに決め付けるのは良くないと思うの。  多分あの人は悪い人じゃない。  チャラそうにも見えなかったし、何より名前がハルトだし。  名前がハルトの人に悪い人はいないわ。  私は本気でそう考えていた。
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