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その言葉を飲み込むのとコーヒーを飲み込むのが同時で、思わず咽せそうになった。
「デート……ですか?」
「はい。俺は喋るのが得意じゃなくて、店長にももう少し愛想良くしろと言われているんです。
実を言うと、今も緊張しています」
「そうなんですか?」
全然そんな風には見えない。
待ち合わせの時はあんなにスマートにナンパから助けてくれたのに。
「ですからその……咄嗟の時にボロが出ないためにも、本物の恋人らしく振る舞ってみるのはどうかなと……」
「偽装なのに、そこまでするんですか?」
「偽装だからこそです。お話を伺う限り、伯母さんは並のことでは納得しないと思います。
より恋人らしさ、というものが必要かと」
なるほど。
それを言われると、私も恋人らしさというものはよくわかってない。
何しろ恋愛経験がないから。
「わかりました。デートよろしくお願いします」
「そんなに深々頭を下げなくても……」
「いえ、ご指南いただく気持ちで臨みます」
すると、青人さんの表情が崩れ、初めて口を開けて笑った。
「面白いですね、永美里さん」
「そうでしょうか」
「恋人同士ですから、敬語はやめましょう」
「でも、年上なのにタメ口は……」
「恋人らしく振る舞うんでしょ?」
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