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だけど、それからハルトくんと二度と会うことはなかった。
その直後に両親が交通事故で他界し、私は伯母に引き取られたから。
でも、きっとまた会えるって信じてる。
だってハルトくんは、私の運命の人なんだもの。
「……ねぇ舞ちゃん、聞いてる?」
「聞いてない」
「どうして!?」
「あんたのその話、何年聞かせられてると思ってんの!?いい加減聞き飽きたわ!」
「ひどい……」
何回でも聞いて欲しいのに。
「永美里、あんた21よ?いつまで初恋引きずってるの?
いい加減現実見なよ。いくら待ってもその王子は迎えに来ないから!」
舞ちゃんの言うこともわかる。
これは私の現実逃避なんだと思う。
だって、ハルトくんのことを思い出している間はずっと幸せな気持ちでいられるの。
つらいこと、苦しいことを乗り越えられる。
「とにかく政略結婚なんてさせられる前に、早くあの家出て私のとこにきなさい」
「でも……、伯父さんにも伯母さんにもお世話になったし」
「永美里のこと小間使いみたく扱ってるのに?」
「でも、短大まで行かせてくれたし、今のお仕事も伯母さんの紹介なの」
「あんたに恩売って思い通りにさせるつもりなのよ!だから政略結婚なんてさせようとしてるんだから!」
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