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だけど、シャンプーは丁寧でとても気持ちが良い。
「……痒いとこ、ないですか」
「はい」
シャンプーを終えて席に戻ると、アシさんはペコっと頭を下げて行ってしまった。
それから馬野さんが来てくれて、いつも通りカットとパーマをしてくれる。
「……あのアシスタントさん、新しい方ですか?」
「ああ、一応スタイリストデビューはしてるんだけど、うちに来たのが最近なんだ。
無口で接客は下手だけど、腕はいいよ」
「そうなんですか」
「……ところで永美里ちゃん、聞いたよ。結婚するんだって?」
馬野さんがそう言った瞬間、後ろからガシャーン!という大きな音がした。
どうやらさっきの新人さんが何かを落としてしまったらしい。
「すみません……」
「大丈夫か?リュウ」
「大丈夫です、失礼しました」
「ごめんね〜永美里ちゃん」
「いえ」
そんなことより、馬野さんの耳に届いているということは、恐らく伯母だろう。
「私は、まだするつもりないんですけど」
「そっか」
「伯母が乗り気みたいで……どうやって説得しようかなって思ってたところです」
「彼氏がいるって言っちゃえば?」
「いませんよ」
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