1.初恋と偽装恋人

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 こんな感じでずっと過ごしてきたので、21年間彼氏はいません。 「そこはいなくてもいるって言ったら?」 「伯母は絶対会わせろって言いますよ」 「そっかぁ」  喋りながらでも軽快な音とともにカットしてくれて、パーマも綺麗にしてくれるから流石は馬野さん。  綺麗になって、ちょっと気持ちも上向きになった。 「ありがとうございました」 「伯母さん、何とか説得できるといいね」 「頑張ります」  何も思いついてないけど、なんて説得したら良いだろう。  なるべく伯母を刺激せず、断る方法はないだろうか。  ぼんやり考えながら歩いていたら、突然肩を叩かれた。 「あの」  それはさっきの新人さんだった。 「これ、お忘れでしたので」  彼が差し出したのは、私の携帯だった。  今まで忘れていたことにも気づいていなかったので、とても驚く。 「すみません、ありがとうございます」 「いえ」 「わざわざありがとうございました。助かりました」  ペコリとお礼をして、立ち去ろうとしたら、またその人に呼び止められた。 「あのっ!」 「はい?」 「……失礼ですが、自分が彼氏役になりましょうか?」
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