2.義弟との偽装結婚

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2.義弟との偽装結婚

 私は今、天王寺グループ系列企業の一つの、レセプションパーティーに参加している。  お父さんがオーダーメイドで発注したというウン十万もするドレスに身を包み、パーティーの隅っこでボーッとしながら赤ワインをちびちび飲んでいた。  煌びやかな雰囲気とドレスに似つかわしくない程、私は鬱々とした気持ちでパーティーをどこか俯瞰的に眺めていた。  今朝、お父さんが引っ越し業者とともに迎えに来た。  もう大丈夫、心配するなと抱きしめられ、引っ越し業者が私の汚部屋をあっという間に片し、あっという間に部屋を空にしてしまった。  うぱおグッズはとても丁寧に梱包され、今も段ボールに詰め込まれている。 「……まさかここまで強引に連れ戻すとはね」  私が口を挟む暇もなく、あっという間に何もかも運び込まれて連れ出され、そのままお父さんが贔屓にしているドレスショップに連れて行かれ、細かい採寸を測られて夕方にはこのドレスが完成していた。  予め注文しており、細かい採寸だけすればOKという驚愕の用意周到ぶり。  そして今、レセプションパーティーに参加しているというわけ。  こんなに綺麗に着飾ってくれて嬉しいけど、やっぱり気持ちは沈んだままだ。  料理もこのワインも美味しいけど、心から味わえる程の余裕はない。  お父さんはずっと色んな人に囲まれてるし……。
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