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ちょうど駅に着いたので、母との通話を終えた。
電車に揺られながら歩にLIMEを送り、両親との顔合わせの日のリスケをお願いした。
既読はつかなかったので、まだ仕事中かもしれない。
「(そっか、皇輝帰って来るんだ…)」
会社では秘密にしているけど、私の父は天王寺グループの社長だ。
IT系や広告系企業の中でもトップクラスの業績を誇る、天下の天王寺なんて言われる大企業。
つまり私は社長令嬢なわけだけど、高校3年の時に母の再婚でそうなったので、私自身社長令嬢なんて身分不相応だと思ってる。
だから天王寺グループ系列及び子会社は一切受けず、自力で今の会社に就職した。
父は私のことも本当の娘のように可愛がってくれてるし、私も父が大好きだけど、だからこそ甘えたくなかった。
それに、天王寺グループには立派な跡継ぎがいる。
それが義理の弟、皇輝。
年齢は一つ下だけど、皇輝は早生まれなので学年は同じ。
高校卒業と同時にロンドンの大学へ行き、そのまま天王寺のロンドン支社に就職した。
年に数回は帰国してるけど、最近は全く顔を合わせていない。
元気かな、皇輝……。
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