1.崩れ落ちた幸せ

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 ちょうど駅に着いたので、母との通話を終えた。  電車に揺られながら歩にLIMEを送り、両親との顔合わせの日のリスケをお願いした。  既読はつかなかったので、まだ仕事中かもしれない。 「(そっか、皇輝帰って来るんだ…)」  会社では秘密にしているけど、私の父は天王寺グループの社長だ。  IT系や広告系企業の中でもトップクラスの業績を誇る、天下の天王寺なんて言われる大企業。  つまり私は社長令嬢なわけだけど、高校3年の時に母の再婚でそうなったので、私自身社長令嬢なんて身分不相応だと思ってる。  だから天王寺グループ系列及び子会社は一切受けず、自力で今の会社に就職した。  父は私のことも本当の娘のように可愛がってくれてるし、私も父が大好きだけど、だからこそ甘えたくなかった。  それに、天王寺グループには立派な跡継ぎがいる。  それが義理の弟、皇輝。  年齢は一つ下だけど、皇輝は早生まれなので学年は同じ。  高校卒業と同時にロンドンの大学へ行き、そのまま天王寺のロンドン支社に就職した。  年に数回は帰国してるけど、最近は全く顔を合わせていない。  元気かな、皇輝……。
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