1.崩れ落ちた幸せ

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 何だかすごく嫌な予感がした。  私はすぐに自分のフロアに戻り、残りの仕事を確認する。  この分なら明日に回しても大丈夫そうだ。  朝少し早く出勤してもいいし、今日はもう帰ろう。  何故か心の中がずっとザワザワしていた。  歩に「これから家行ってもいい?」とLIMEした。返事はなかった。  歩、今どこにいるの……?  歩の家の合鍵はもらっているので、それを使って部屋に入った。  玄関に入った瞬間、血の気が引いた。  ……女物の靴がある。 ――嘘だよね?何かの間違いだよね?  歩に限って、そんなことないよね……?  だって私たち、結婚するんだもんね……?  どこか覚束ない足で歩の部屋に一歩、また一歩と近づく。  私の思い過ごしであって欲しいと祈りながら、扉を開けた。 ――そこには、生まれたままの姿で別の女と抱き合う歩がいた。 「……歩?何してるの?」 「――っ!?妃乃!?」  慌てたような歩が振り返った瞬間、女の顔が見えた。  私は目を疑ったし、目眩がするかと思った。 「なん、で…塔子ちゃんが……」  婚約者と後輩が、浮気していた。
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