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「妃乃……」
「……っ、はぁ……」
幸いにして息はしている。
でも、流石にやりすぎた。
熱があるのに夢中になって妃乃を求めてしまっていた。
「……ごめんな」
額に冷えピタ貼ってる奴に何してんだか……がっつきすぎだろ。
こいつが少しでも熱を吸い取ってくれていたらいいと願いながら冷えピタを剥がし、額に軽くキスを落とす。
それから新しい冷えピタに貼り替えた。
すると妃乃は落ち着いたのか、スースーと静かに寝息を立てる。
……妃乃、起きたら覚えてんのかな。
いや、今は静かに寝かせてやりたい。
起きたらまた甘やかしてかわいがって、その体に余すことなく愛を刻みたい。
……まあ、もちろん妃乃の気持ちと体調次第だけどな。
「……おやすみ、妃乃」
妃乃の隣に横になり、ぎゅっと抱きしめて瞼を閉じる。
これは全部、熱のせいだ。
熱に浮かされたせいだから。
誰にしているのかわからない言い訳を自分に言い聞かせ、最愛の人の温もりを感じながら眠りに落ちた。
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