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「……熱上がりそう……」
せっかく解熱剤が効いてきたのにこのままでは意味がないと、とりあえず私も自室に戻って布団に潜った。
だけど、布団に入ったら入ったで思い出してしまう。
皇輝まで熱を出したのは完全に私のせいだ。
だってあんなに、食べ合うみたいな……。
「ダメだ、寝れない……」
熱が少し引いてしまったせいで、逆に頭が冴えてしまった。
どうしよう……何が困るって、全然嫌じゃなかったことだ。
むしろ気持ち良くなって、自分から求めていたような気もする。
歩が来たことが、もはや遠い過去のことのように感じる。
あんな奴、もうどうだっていい。
頭の中は皇輝のことでいっぱいだ。
「皇輝……」
あ〜〜〜〜〜やばい、名前呟くだけで恥ずかしくなるって何なの!?
今まで何度も呼んできた名前なのに。
もう皇輝はただの弟ではなくなっている。
もちろんただの上司でもない。
一人の男性として意識してしまってる――。
私は皇輝が好きなのかな……?
そう思うと同時に、お母さんの顔が浮かぶ。お父さんの顔も。
偽装結婚は私のためをと思っているみたいだけど、姉弟で本当に付き合うことになるって聞いたら……両親はどう思うんだろう?
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