9.絆されて、甘い熱

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「……熱上がりそう……」  せっかく解熱剤が効いてきたのにこのままでは意味がないと、とりあえず私も自室に戻って布団に潜った。  だけど、布団に入ったら入ったで思い出してしまう。  皇輝まで熱を出したのは完全に私のせいだ。  だってあんなに、食べ合うみたいな……。 「ダメだ、寝れない……」  熱が少し引いてしまったせいで、逆に頭が冴えてしまった。  どうしよう……何が困るって、全然嫌じゃなかったことだ。  むしろ気持ち良くなって、自分から求めていたような気もする。  歩が来たことが、もはや遠い過去のことのように感じる。  あんな奴、もうどうだっていい。  頭の中は皇輝のことでいっぱいだ。 「皇輝……」  あ〜〜〜〜〜やばい、名前呟くだけで恥ずかしくなるって何なの!?  今まで何度も呼んできた名前なのに。  もう皇輝はただの弟ではなくなっている。  もちろんただの上司でもない。  一人の男性として意識してしまってる――。  私は皇輝が好きなのかな……?  そう思うと同時に、お母さんの顔が浮かぶ。お父さんの顔も。  偽装結婚は私のためをと思っているみたいだけど、姉弟で本当に付き合うことになるって聞いたら……両親はどう思うんだろう?
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