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絶望だった。
愛していた婚約者と可愛がっていた後輩に同時に裏切られた。
記憶はないけど、何とか自宅には辿り着けたらしい。帰宅してそのまま、ベッドに崩れ落ちて号泣した。
泣きながら寝落ちて、顔は酷いなんてものじゃないし、起き上がるのもつらくて。
どうしても会社に行けなくて、体調不良を理由に休んだ。
ほとんど会社を休んだことのない私が休んだため、先輩も同僚も他の後輩も、みんな心配してメッセージをくれた。
……ごめんなさい、ただの仮病なんです。
何度泣いたかわからない。
もう体中の水分を出し切ったと言っても過言ではないくらい、泣き腫らした。
歩にも塔子ちゃんに会いたくないけど、仕事にこれ以上支障をきたしてはいけない。
重い腰を上げ、自分を奮い立たせて出勤した。
それ以上の地獄が待っていた。
「……えっ、この企画」
「金城の持ってきた企画なんだ。よくできているだろう?」
「課長、あの、これ」
「まさか金城がこんなよくできた企画を作るまでになっていたとはなぁ。
天王寺の教育の賜物だろうな」
どうして?
どうして私が考えた企画が、塔子ちゃんが考えたことになってるの?
意味がわからない。
私が休んでいた1日の間に何が――?
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