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それでも大学に行く気にはなれなかった。就職する事にしかその時は頭になかった。
大学に進学したとしても自分に何の得が生まれるのだろうか?確かに選択肢は広がるとは理解している。が、それ以上に六華は自身の生活を安心して過ごせるビジョンがどうしても湧かなかった。
ある休日に数少ない信頼している友人といつもの行き着けのカフェで就職するか、進学するかの悩みを相談する事になった。
「うーん。確かに難題な悩みだよね。それは」
友人である猪狩結【いかりゆい⠀】が険しい顔をして六華の相談に乗る。
「ごめんね。すぐに結論を出にくい相談で」
六華は申し訳なさそうな表情を浮かべて言うと、結はいつもこう言葉を投げてくれる。
「また、言ったね。ごめんって『ごめんはごめんね。』よ」
六華は、いつも周囲を目を気にしなら生活をしていた。今でこそ家族での気遣い等は無くなったが、高校まではそれすら気を遣っていた。
元々周囲の目が気になる性格であった一方で精神的な不定期な体調不良で倒れたりも重なり、余計に周囲の目が厳しく見えて仕方なかった。
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