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第2話「砂漠のオアシス」
いつの間にか日は、とっぷりと暮れて夜になっていた。
デリーズから逃れ、夜の砂漠の温度差に耐えながら、ソラ達はやっとの想いで
オアシスに着いた。
着の身着のままで、逃げて来たソラ達だったが。
ここは、泉があるおかげで快適でのどもうるおせる。
洋梨のような形の黄色いノノンの果実も、なっているので腹を満たすにも最適だ。
これは甘くて香りも良く、ソラも好物の果物だった。
ソラとミランダ、アリス達は泉から少し離れた場所で野宿をすることになった。
パチパチ
たき火の温かさが、ソラとミランダの身体を温めてゆく。
虫の鳴き声、水の音。砂漠の夜は静まり返っていた。
暖を取り始めてから最初に口を開いたのは、ミランダだった。
「私は、ミランダ=ミラーよ」
「僕はソラ=クロックスだ。そっちのAIは、アリス」
「ねえ、ソラ。あなたは何で、見も知らずの私を助けてくれたの?」
「ん~?僕って、困ってる女の子を放っておけないタチなんだ。
あまり、気にしなくていいよ」
「ふうん…そうなの?あなたって優しいのね。ありがとう」
ミランダは、少し頬を染めてソラの目を見つめた。
「ああ、うん…」
頬を染めて照れるソラにアリスは、むっとしなから二人の間に割って入った。
「ダメダメ~っ!こんな、へちゃむくれ。ソラは、アタシの物なんだからあ~!」
いきり立つアリスにソラはため息をもらし、心底呆れた表情をした。
「この娘、AI搭載のフェアリー型アンドロイドね?私、初めて見るわ。
だってとても、綺麗なんだもの」
ミランダがまるで、妖精のように可憐なアリスの姿に目を輝かせて、まじまじと見る。
「やだっっ!そんな目で見ないでよ。アタシは、アンタなんか嫌いよ!」
アリスは、ミランダに嫌悪感を示すような表情と言葉を投げつけると。
そっぽを向いて、どこかへ飛んで行ってしまった。
「はは、アリス変な奴だなあ。あんなに怒る事ないのに」
ソラはのんきにアリスが、飛んで行った方を見ながら笑っていると。
彼の無神経さにミランダが少し、むっとしながら言った。
「私は、アリスの気もち分かるわ。女の子はね……好きな男の子にはいつも、自分だけ見てて欲しいと思っているし。
他の娘と話ししていると、嫉妬するものなのよ」
「へえっ!?アリスが、俺のことを好き?まっさかあ~」
ソラは頬を真っ赤に染めて一瞬、締まりのない表情でへらっと微笑んだ。
その様子を見て、もしかしたらソラも、アリスの事が好きなのではと感じて
胸がチクリと痛んだ。
その頃のアリスは、樹木の枝の上に座ってまだ、ぷりぷり怒っていた。
「もう!ソラったら何よ。あんな、お子ちゃまにデレデレしちゃって!
アタシの方が美人だし、ナイスバディなんだからっ」
しかし、だんだんとアリスの勢いがなくなってきた。
「ソラのばか……」
アリスの瞳から涙がこぼれ落ちた。
彼女は、エネルギー不足で枝の上からふらりと落ちた。
とその下で、アリスをタイミングよく受け止めた者がいた。
何と、砂賊団デリーズのAI、マイキーだった。
「うふふっ!ソラの弱点、捕ま~えたっ!デリーズ賊長喜ぶぞ~!」
マイキーは、うふふと嬉しそうに笑うとアリスを小脇に抱え、
喜び勇んで、デリーズのアジトに戻って行った。
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