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『佳夕』
おじいちゃんが教えてくれた言葉だ。特別に美しい夕焼けのことを指すらしい。漁師として、船長として、多くの航海を積んできたおじいちゃんにとっても、この海の夕焼けは特別なのだという。
海は故郷だ。私は海を織りなす。だから、私は家族ともっとつながれるはずだ。そして、もう少し踏み込んだ話だってできるはずだ。
南風の、湿気を多く含んだ温かい風が、海と同化する。私を包容する。どこまでも優しく、広く寛容に。
『茅花流し』
おばあちゃんが教えてくれた言葉だ。この風は、雨の予兆だと言っていた。
おじいちゃんにもおばあちゃんにも、きっと心配をかけている。もう帰ろう。
来た道を戻る。空、風、海。すべてが私を応援してくれているように感じた。五感のすべてでそう感じた。
背後の海は、ずっと広いところまで輝いている。
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