夏の海は私たちをつなぐ

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 ━━━お盆の季節になった。  八月の中旬、おばあちゃんと一緒に、馬に見立てたきゅうりを作った。きゅうりに割り箸を刺した馬は、絶妙な位置の具合で立っている。  「お盆になるとね、ご先祖様が故郷に帰ってくるの。足の速い馬で帰ってきてもらうのね。」  お墓にはほおずきを飾った。人口の少ないこの町にも、お盆になると多くの人が里帰りをするそうだ。  家に帰る途中、おばあちゃんが言った。  「おばあちゃんのお母さんはね、おばあちゃんが十四歳のときに死んでしまってね。たくさん聞きたいこともあったのに、たくさんこれからも話したかったのに、会えなくなってしまったんだよ。だから、海織はねちゃんとお母さんたち家族と話したり楽しんだりするんだよ。」  十四歳というと、私の歳だと来年だ。おばあちゃんは、私と近い歳でもうお母さんを亡くしている。おばあちゃんと目が似ていると感じた人。遺影の中の、若い女の人は、おばあちゃんのお母さんだったのかもしれない。きっと、そうだ。
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