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プロローグ
当番日明けの朝日は、疲れた身体には眩しすぎる。私、雫石月は、今にも閉じそうな目と重い身体を引き摺るようにして、近くのバス停に向っている。
春を迎えたばかりの穏やかな季節のはずが、昨日は急に気温が上昇し夏日を観測するほどの暑さになった。その影響で、熱中症の症状と思われる患者からの救急要請が次から次へと入り、出動から搬送までを終えて署に戻ることなく次の現場に向うハードな勤務だった。本来は取れる夜中の仮眠も、ほとんど取れないまま夜が明けたのだ。
この季節、朝晩の寒暖差に身体がついていけず、目に見えなくとも負担になっている。しかも、夏ほど意識して水分を摂っていない。おかしいと気づいた時には、身体が限界を迎えているのだ。
大学を卒業後、国家試験に見事合格し、採用試験も突破し救急救命士として勤務をして三年が経った。そして四年目に入る今春、初めての転勤を経験したのだ。
同じ市内なのだが以前の長閑な地域とは違い、人口が多い地域の配属になった。救急車の出動件数も桁違いに多く、まだまだ慣れない日々……。
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