07. トラブルは再び

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 事実をちゃんと知りたい、だから感情的にならないように私は淡々と話を進める。一方で淳さんはまだ現実を受け止めきれないでいるようだったけど、私の問い詰め方に観念したみたいだった。 「ああ、状況として晴香と交際している、で合っているのかは分からないが、頻繁に会っているよ。晴香は俺の学生時代から付き合っていた彼女だったんだけど、借金を返すためとかで親に決められた人と結婚する、と言って急に別れを切り出された。俺は晴香以外の人と結婚なんかする気は無かった。だからこの契約結婚だって成立すると思った」  この時私は、夕夏が以前「相手が既婚者ならすぐには再婚もできないね」と言っていたことを思い出した。 「つまり、古坂さんも今は既婚者で、お互い不倫している状態、っていうことですか?」  だけど、淳さんの返答は思っていたものと違っていた。 「いや、それが違っていて。どうやら結婚間近に二股かけられていたのが発覚して、結婚に至らなかったらしい。再会したときにその事を聞いて、俺はもう晴香を手放したくなかった。沙耶香には申し訳ないとは思ったんだけど、どうしても制御がきかなくなってしまったんだ。 でも、契約結婚とまでは話していない。ただ、俺たちは元々恋人の期間はないまま結婚したし、現状お互いに愛情はないからいつでも離婚はできる、そう言ったんだ」  制御がきかない……か。恋愛ってそこまで人を動かすものなのか。私にはいまいちピンとこなかった。それと、不倫する人って本当に「夫婦間でもう愛はない」みたいなこと言うんだ。でも私たちの場合最初から愛なんて無かったから、間違いはないんだけど。だけど、これでようやく前には進めそうだ。 「状況は分かりました。それなら、私たちの契約破棄しますか? 彼女も離婚を望んでいるみたいですし、それでお望み通りの結婚をすればいいじゃないですか」
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