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はじめて受けた塾の授業は、涼介の学力レベルを遥かに超えていた。
講師は、今まで学んできたことの復習だと言っていたが、勉強をおろそかにしてきた涼介にとって、わからない部分が多すぎた。
数学の公式なんて最たるもので、何かの呪文としか思えない。
「二次方程式とは三平方の定理とか……公式だらけで覚えられねえっ」
頭をがしがし掻きながら、翔馬と香苗に愚痴をいう。
「いやいや。公式は丸暗記するようなものじゃないからな」
「暗記科目は理科と社会ぐらいよ。数学はとにかく重要な公式だけ覚えて、あとは解き方を理解することのほうが大切なんだよね」
「そうそう。その辺のところは僕が教えてあげるから、当分、一人で勉強する時は、暗記科目に集中しなよ」
「まじで? いいの?」
「もちろん。三人で同じ高校に行くんだろ?」
翔馬の言葉に涼介は大きく頷く。すると、香苗が「それなら……」と口を開いた。
「うちら近所に住んでいるんだから、三人で勉強会しようよ」
涼介と翔馬は二つ返事で香苗の提案にのった。
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