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「――どこにも、どこにも行けないよ」
「私じゃなくても誰でもいいはずなのに、私なんかが歯車になっている場所が、たくさんあるの」
「そこから抜け出すことなんて、できないの」
ひとのように出来ない自分。変わりたいのに変われない自分。ぜんぶ放り投げて消えてしまいたいのにそうできない自分。こんなにも私はどうしようもないのに、みんなと平等に与えられている権利、義務、そんなものすら重荷に感じている自分。家族。友達。仕事。社会。
数え上げれば、自分を嫌いになる理由なんて星の数ほどあった。こんなにも美しい夢を見られることくらい自分を認めてあげれたらいいのに、現実で私を苦しめるものが、いまもそれを赦さない。
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