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「あなたも気がついてる。僕もあなたも、夜明けが好きだと思うのは、ここにいたいと思うのは、まだ、陽の当たる場所を諦めきれないからだ」
少年の言葉に目を閉じた。
受け入れてゆく。夜の心地よさを知ってもなお陽の当たる場所は、きれいで、賑やかで、明るくて、暖かいこと。そこで同じくらい眩しく生きられたら、好きな場所へ行けたらと、本当は願っていたこと。
諦めきれなくても良いのだろうか。どうにも上手に生きられない、私でも。
随分前から気が付いていた。ここにずっと居たいのにこんなにも胸がざわめくのは、(世界が待っている、もう起きなくちゃ)って、ちゃんとわかっているからだ。
「太陽が昇った先の世界には、いろんなものがあるよ。苦しいことも、哀しいことも。だから夜に癒される。でも、陽の当たるところにしかない素敵なものや場所も、たくさんあるんだ。それを想うことの、何が悪いと言うの」
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