夜明けの波間に

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 ――ああ、こころが(ほど)けている。このままここに、ずっといられたらいいのに。    幼くも聡い少年との会話は楽しくておかしくて、くすくす笑いながら、そう思った。  でも、どうしてかずっとざわざわしているこころの底を、気のせいだって思おうとしている自分にも、もう私は気が付いている。  時折笑顔を曇らす私を、少年は見つめている。何もわからない私のことを、気付きかけている私のことを、大切なことを考えないようにしている私のことを、何もかも分かっているみたいな、瞳で。  お願い、何も言わないで。ここにいさせて。こんな小さな少年に縋るみたいで、情けなくて泣いてしまいそうになりながら、こころの中で祈る。  
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