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「ロランだって……」
まだあどけないロランの顔を思い出す。幼い大きな瞳。それは、恐いくらい純真そのものだった。
「アニエちゃん、ロラン・トレムをずいぶん気に入ってるんだね?」
「そういうのじゃないけど」
「気をつけたほうがいいと思う」
「アヴィンと同じこと言うんだね」
「だって……」
噂をすればなんとやら。そのとき前からアヴィンがやってきた。
「アヴィン、アニエちゃんがロラン・トレムと仲良くしてるって」
アヴィンは怪訝そうに顔をしかめた。
「別に、仲が良いとかじゃないけど」
「関わるなと言ったのに、よっぽど俺の言うことは聞きたくないんだな」
その棘のある言い方にアニエはむっとする。
「話してみると悪い子じゃないから。雨乞いの儀式も否定していたし、ユニコーンやエルフが好きなだけ」
「雨乞いの儀式を否定? ロラン・トレムが?」
「ロランも気分が悪くなったって。あんなの時代遅れだって言ってた」
「ふーん」
アヴィンはいぶかしそうにする。
「まだ幼いし、素直で良い子だよ。アヴィンとは違って」
「なんだって?」
アヴィンが眉をしかめた。
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