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「本当に狼男だったの?」
「確かにそうだったと思う。そんなことありえないと自分でも思うんだけど、やっぱりいくら思い返してみても、やっぱり狼男だったと思う。私を赤い目で見つめてきて、私の方に日本足で歩いてきて……」
アニエは思い出してぶるりと震えた。
「でも、まさかね。獣人は何千年も昔に滅びているし。じゃあ、あれは何だったのかって、ずっと悩んでいるの」
「それなら、招集をかけよう」
ニーナは突然立ち上がって言った。
「招集? 何の?」
ニーナはにやりと笑う。
「もちろん、怪奇クラブの、だよ」
アニエは眉をしかめ、首をかしげた。
「なんでこいつがいるんだ?」
アニエは空き部屋のひとつにいた。
作り物の蜘蛛の巣がハンモックのように天井から下がり、骸骨の標本が窓辺に並んでいる。木棚に置かれたたくさんの鳥かごの中にはフクロウや猫、様々な動物のぬいぐるみが入っていて、ガラス玉の瞳がキラキラと輝いていた。
部屋の真ん中には大きな丸いテーブルがあり、林檎の形をしたランプが置いてある。そして、アニエの目の前には不機嫌な顔でアヴィンが座っていた。
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