17人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
ニーナが立ち上がりわざとらしく咳をする。
「えー、今日みんなに集まってもらったのは、アニエちゃんから重大なお話をしてもらうためです」
「部外者は立ち入り禁止だと言っただろう」
「アニエちゃんは部外者じゃないでしょ」
「部外者だろ」
「まあまあ、いいじゃないか。僕も森のお嬢さんの話をゆっくり聞いてみたかったし」
そう言ったのは、入学初日に会ったアラン・リベールだ。彼は金色の髪を優雅にかきあげてにっこりと微笑んだ。
「また会えてうれしいよ」
とウィンクをした。すると棚に置かれた造花の花が咲いた。
「アラン、もう目をつけてたのか?」
とルミル・チェク。
「彼女が入学した日に出会ったんだ。これって、運命なのかもね」
「あんたの運命はずいぶん軽いんだね」
丸メガネをした赤毛の女の子が呆れて言った。
「あたしはレマ・ハンド。よろしくね」
そして彼女は隣に座っていた女の子を差して、
「この子はラーナ・ロダ」
と紹介した。
紫色の長い髪と黒い瞳の少女は長い前髪の下から、にっこりと笑い、
「よろしく……」
と言って、手を差し出した。
最初のコメントを投稿しよう!