第五話 怪奇クラブ

4/23

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/322ページ
 その手を取ろうとしたとき、その肩に毒蛇を巻いていることに気がついて、アニエは短い悲鳴をあげた。ラーナがひっひっひと低い笑い声を立てた。 「ラーナ、意地悪をするなよ」  面倒見のいいルミルがため息をつきながら言う。 「大丈夫、この子は大人しいから……私に似て……」  と言って、自分の言葉に笑っていた。 「アニエちゃん、ラーナのことは気にしなくていいよ。変わってるから」  まさかニーナに変わっていると言われる人がいるとは驚きだった。 「それで、これはいったい何なの?」 「ニーナ、説明してないのか?」 「見れば分かるかな、と思って」 「分からないよ。こんな怪しい部屋に集まって」 「じゃあ、帰れよ」  とすかさずアヴィン。  アニエはアヴィンをにらみつける。アヴィンはふんと顔を背けた。 「本当にアヴィンはアニエに冷たいんだね。かわいそうだ。僕が温めて……」 「この集まりは怪奇クラブっていうんだ」  アランを無視してレマが言った。 「一応、奇妙な事件をみんなで考えようってクラブなんだ。この部屋は、ここしか空いてなかったから」 「でも怪奇クラブにぴったりの部屋だと思う」
/322ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加