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エルフの少女から聞いた魔法を使った、ということは話さなかったのだ。夢の中でエルフに会ったなんて話をしたらまたバカにされるかもしれない。
「えっと、とにかく夢中で……あまり覚えてないの」
「ふーん」
アヴィンの空色の瞳は疑わしそうにアニエを見ていた。
「ねえ、今からみんなで会いに行かない?」
ニーナが明るい声で言った。
「会いに行く?」
「まさか」
「そのまさか。みんなで狼男に会いに行こうよ」
全員で顔を見合わせる。
「みんなも狼男に会いたいでしょう?」
「それはそうだけど」
「ええ、会いたい!」
一番にニーナに賛成したのはラーナ・ロダだった。あまりにも急に立ち上がるので、首に巻かれた毒蛇もびっくりしたほどだった。
「これこそまさに、怪奇でしょう?」
「確かにね。もしかしたら、ヘンリー・ロウを殺したのはそいつかもしれないしね」
とアランが言った。
アヴィンは何も言わずに顔をしかめた。
「ヘンリー・ロウの話は知ってる?」
聞かれてアニエはうなずいた。
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