16 勇者魔族連合軍VSハラクローイ兵士団

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16 勇者魔族連合軍VSハラクローイ兵士団

 薬草採取の人たちを追い返して数日。  第二陣がやってきた。  前回の奴らより冒険者ランクが高いメンバーだ。 「うーん。そんなすぐに兵士はこないか。みんなオナシャッス」 「おっけー☆ 前より手応えあるといいなあ」 「ふーむ。今回は少しは戦えるかな」  トレントさんにアストモ、前回ぜんぜん遊べなくて退屈だったって言ってたもんね。  弓士を連れてきているあたり、金に目がくらんでメンバーを減らしちゃだめって勉強したのかな。  厳選冒険者たちも、魔族の皆さんとレベル差がありすぎて5分持たなかったよ。  そして第三陣。  ついに兵士団のみんながやってきた。  リューガさん大歓喜! 「あの白マントつけてる人が兵士長ですよ、リューガさん」 「そうか。では皆の衆。うって出ようか」  竜人族の戦士部隊の皆さん大集合。  こんなド田舎に現れるはずもないドラゴンの群れに、兵たち士は逃げ出した。 「ドラゴンがこんなに!? 死にたくない。こんな仕事やってられるか!!」 「ま、待てお前ら!!」  兵士全員のレベルや弱点も調査済みだから、竜人族に死角なし。  一人だけは残って戦おうと頑張っている。  その唯一が兵士長。 「我が子たちを奪った報いを受けよ!」  魔族の言葉がわからない兵士長には、ただの咆哮にしか聞こえない。 「くそ、報告と違う。なぜこんなにドラゴンがいるんだ」  一体だけならまだなんとかなったかもしれないが、数えることを諦めるほどの大群だ。  必死に剣を振るっているけれど、リューガさんのウロコにはかすり傷ひとつつかない。  兵士長は右腕を食いちぎられて、利き手ではない左でなんとか剣を持っていた。 「ルーザーはなにをしているんだ。ルーザーがさっさと魔王を仕留めていればこんなことには」 「あれま、なんで俺のせいになってんのさ兵士長」  物陰から様子をうかがっていたけれど、名前が出てきたから顔を出した。 「ルーザー! おまえ、なんでこいつらを斬らない。勇者の剣ならこいつらを斬ることくらいたやすいだろう! なぜおれひとりが戦わなければならない」 「なに矛盾したこと言ってるんすか。俺は今のあんたみたいに全身ズタボロになっても、何度死んでも、一人だけで戦えって言われている。だから一人でがんばってくださいね」  挨拶だけして、その場を離れる。 「な、なんだとルーザー! おまえ、勇者だろう! 勇者の仕事は魔族と戦うこと……」  竜人族の皆さんの大活躍で、ハラクローイ兵士団は1日にして壊滅した。  リューガさんも、食いちぎった腕を息子さん夫婦の墓前に供えるんだって。
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