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性格が穏やかな人ではないから、一発くらいは殴られるかもしれないが、あっさりと身を引くだろう。
自分を尊重しなくなった恋人に、縋るような真似はしない人だ。
だから同時に、恐ろしくもある。
あの人の示す情を上手に受け止め、同じかそれ以上を、きちんと伝えられなければ──あの人は去ってしまうのではないか。
日々約束を守ることが、想いを伝える手段でもある。だから、ついつい日常生活の隅々にまで増やしてしまった。
あの人の日常にも、約束が侵食するように。
日常のあらゆる場面で、恋人の存在を意識するように。
約束とは、双方向だ。
縛ると同時に、縛られる。
あの人も、それを良く解っている。
ピアスホールを開けさせろと言われ、同意した。
あの人の独占欲と所有の証を、自ら望んで受け入れた。
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