プロローグ

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プロローグ

 暑い日はまだ続いているとはいえ、そこはかとなく夏の終わりを感じさせる八月の最終週。  日暮れも早くなり、宿題があるわけでもないのにあせりを覚えるのは何故なのだろう。  うだるような暑さにうんざりして、早く涼しくなって欲しいと願っていたというのに、ひゅるりと吹く朝夕の乾いた風が木々の香りを連れてきて、秋の気配を感じたとたん急に寂しくなる。  心が冷えて寂しい黄昏時を独りで歩けば、あの日を思い出して、いつにも増して彼に会いたくなる。    彼と過ごした五日間は、がんじがらめの私の心を解き放ってくれた。  彼は私に自信をくれた。    あれから一年が経ち、今もあなたを忘れられずにいるのは私だけですか…    あなたに会いたい。  約束通り、あなたに会えたなら…  あの時に芽生えたこの想いを、ちゃんと届けることが出来るから。  
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