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エゾゼミちゃん。
――――それはセミたちの穏やかな練習風景。
「シャワシャワシャワ」
「ミーンミンミンミー」
ミンミンちゃんとクマさんの奏でるセッション。
「ギー、ギー」
聞きなれない音が混ざります。
「はっ、今のセッションは一体……っ」
ミンミンちゃんが振り向けばそこには……っ!
――――
「どうも、こんにちわ」
ひょっこりと顔を出した、茶髪に茶色い羽根のかわいらしいセミ。
「来てたのか」
そこでクマさんが、トコトコとかわいらしいセミに寄り添う。
「クマさんの知り合いのコ?」
ツクツクや、
「あまり見かけないセミさん」
ヒグラシちゃん。
「ち~~に~~?」
ニイニイちゃんも興味津々の様子。
――――
「このこは俺の……嫁さん。エゾゼミ」
「夫がお世話になってます」
ぺこり、と会釈するエゾゼミちゃん。
まさかのクマさんにお嫁さんがいたなんて。
『なぬ――――――っ!?』
マジでびっくりセミたち。
「ちょっと聞いてくか」
「ん」
こくんと頷くエゾゼミちゃんをゼンちゃんが椅子に案内してくれます。
――――
「そんじゃー、キメるぜ……!」
アブラゼミのアニキの掛け声とともに、
「ヨォーシッツクツクホオォォ――――シッ」
ツクツクのビートに合わせ、セミたちが今日も賑やかなセミメロディーを奏でるのであった。
【完】
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