クマさんとニイニイちゃん。

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クマさんとニイニイちゃん。

「ち~~~に~~~っ!」 ニイニイちゃんは、ミンミンにいにが大好き。ミンミンにいにを振り向かせるため、今日も特訓だ……! ――――――その時である。 「シャワシャワ、シャワシャワ」 独特の鳴き声をリズミカルに奏でるクマにいにがやってきました。 「ち~~~に~~~っ!」 ニイニイちゃんもクマにいにのように大きくなりたい!そうクマにいにに訴えるニイニイちゃん。 クマにいにはクマゼミと言う、南の方の出身で、とってもとっても大きなセミです。 「大きく、か?ニイニイちゃんはニイニイゼミだろう?ニイニイゼミは小さなセミだから、大きくはならないぞ」 そう言ってハハハとはにかみながらニイニイちゃんの頭を撫でるクマにいにですが……。 「ち~~~に~~~っ!?」 ニイニイちやん、ガーン。そしてふるふるふる。 それじゃぁいつまでたってもミンミンにいにを振り向かせられない……? しゅーんとしちゃうニイニイちゃんに……? 「で、でもセミは大きさじゃないぞ!」 クマにいに、ニイニイちゃんの涙目にあたふたしながらあやします。 「でかくても、鳴くのが下手なら全くモテないんだ、これが」 そうあっけらかんと笑うクマにいにに…… 「ち~に~?」 ニイニイちゃんはぽかんとしながらクマにいにを見上げます。 ニイニイちゃんが見上げるほどにおっきくてカッコいいクマにいにたち、クマゼミでも? そう首を傾げれば。 「そうだぞ。だから鳴き声を特訓すればニイニイちゃんもモテモテだ」 そう、ガッツポーズをキメるクマにいにに……。 「ち~に~!!」 ニイニイちゃんはミンミンにいにに振り向いてもらえればそれでいいのです。 そう頑張って訴えれば。 「なんだ、もう決まった相手がいるのか?なら、鳴き声の特訓だな!」 クマにいにがニカッと笑う。 「ち~に~!」 こくんと頷くニイニイちゃん。 2人はセミバンドのレッスンルームへ向かいます。 「シャワシャワ、シャワシャワシャワシャワ」 マラカスを振りながら独特のリズムを刻んでくれるクマにいにに…… 「ち~~~に~~~っ」 ニイニイちゃんが甲高いキレイなビブラートを響かせます。 そうして2人で仲良く鳴き声の練習をしていれば……? 「ミ~ンミンミンミ~、ミ~ンミンミンミ~」 ミンミンにいにがやって来て、ニイニイちゃんとお手手を繋いで歌ってくれます。 ニイニイちゃんが大好きな、透明感のあるミンミンにいにの声に、ニイニイちゃん、大喜び。 「ち~~~に~~~っ!」 ミンミンにいにへの気持ちを乗せて、一生懸命に鳴き声を響かせます。 さらには…… 「ジージージジジジジジー」 「カナカナカナ、カナカナカナ」 「ヨォーシッツクツクホーシッ!ツクツクホーッシッ!」 バンドメンバーも集まってきて、ツクツクにいにと一緒に来てくれたマネージャーのゼンにいにも手拍子でリズムを刻みます。 こうしてとっても楽しいセッションになったのでした。 「今日もニイニイちゃんはとってもキレイな鳴き声だったよ」 セッション後、ゼンにいにが注いでくれたジュースをちゅーちゅーと飲んでいたニイニイちゃんをミンミンにいにに褒めながら頭をなでなでしてくれます。 「ち~に~っ!」 ミンミンにいにに褒められて、とっても満足げなニイニイちゃんなのでした。
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