ティーナイト

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「どうする?」と霧夜は訊いた。決定権は家主にある。 「どっちみち出会う相手だが」 「入れる義理はありませんが、どうしますゆかり?」 「…決めるの、私…?」 「ゆかり以外にないでしょう…」 小紫の苦笑。だがゆかりは口にカレーをつけたままで、困って泣きそうな顔だった。すがるような視線。霧夜は「一度話してもいい相手だとは思うぞ」と言った。 「出方はそれから決めればいいことだ」 「…なら、話してみる…」 「その前に一つお聞きします音無さん」 「何だ?」 立ち上がりながら、小紫が髪を流して、その視線を霧夜に向ける。 「朱鞠内緋那は『こちら側』の存在ですか?」 確認するような問い。それは裏世界の人間という意味ではない―――ゆかりの気持ちを慮れる―――闇の住人であるかどうかという意味だ。ダークサイドに居るかどうかという意味だ。 霧夜は首を振った。 「違うな」 「分かりました、助かります、音無さん」 会話はそれだけで十分だった。小紫が玄関に赴き、霧夜はコーヒーカップを片手に、ただ客間に居る。ゆかりが体育座りで不安げな視線だった。
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