ティーナイト

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緋那は手に持ってきた荷物を漁りながら、さらりと、 「しかし、ゆかりちゃん。ゆかりちゃんがここに帰って来た訳とか…そういうのは、きっと、話したくないのよね」 「…」 「御返事ありがとう」 露骨な沈黙を拒絶と受け取って緋那は切なさそうな顔をしていた。「悪いことを聞いたわね」と微笑むその顔は、大人のものだった。だがそれを容赦なく斬り込んで聞けるのは―――朱鞠内緋那が勇者で、大人だからだろうと霧夜は思う。 「それにしても、ご飯中だったのね。様子見と挨拶ご機嫌伺い全部兼ねて来たつもりだけど、失礼しちゃったわね」 「もう食べ終わるよ…」 もぐもぐしながらのゆかりの言葉。マイペースである。「手土産がない訳じゃないわ」と緋那は何やらを机に並べ始めた。 大きな紅茶缶に、暖色を反射して煌めくガラスのティープレス。霧夜は目を瞠る。 「紅茶か」 「お湯だけ頂くわ」 「…どうぞ…」 ゆかりの返事。ちゃっかり食後のミルクを飲んでいる。小紫が目くばせをした。 「紅茶は大丈夫なのですか、ゆかり」 「大丈夫…品種の嫌いもない…」 「安心したわ」 そう緋那は言うが、彼女が苦手であれば何かそれは策があるような雰囲気でもあり、別に安堵というものでもなさそうだった。周到だと霧夜は思う。
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