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秘密基地の冬の夜に、紅茶の匂い。
緋那の瞳に琥珀色が映る。
「それなりに美味しいはずよ、私が選んでるし」
「…いただきます…」
「はいどうぞ召し上がれ」
緋那もまた紅茶を口にするが、様になっている姿だった。お嬢様風ですらある。小紫もティーカップに口をつけるが、別に表情は不味そうなそれでは全くなかった。霧夜も唸った。
「…旨いな」
「私の趣味だからね、そう言って貰えると嬉しいわ」
「舞雪にも振舞っている訳か」
「時々ね。うちでやってたんだけどうち散らかってるし、出来れば神社とかでやれればいいなあと思ってたんだけど、今回舞雪が大っぴらに真冬ちゃんや柚希ちゃんにも姿見せてくれたおかげで、それも出来そうかなと思ってる」
緋那はそう言った。その琥珀色の水面に己の顔を映して、優雅にその髪をかき上げた。自信に満ちたそれである。
「その時は皆呼んでお茶会したいわ。ゆかりちゃんや霧夜も小紫も例外じゃなくてね」
「俺も呼ぶのか」
「そりゃ呼ぶでしょうよ」
「…私も…?」
「あのねえ、柚希ちゃん真冬ちゃんが来てなんでゆかりちゃんハブなのよ…」
緋那のジト目である。
「でもゆかりちゃん、お兄ちゃんや小紫いないのヤでしょ」
「…絶対嫌…」
「まあ私自身がここで除け者なんて絶対作りたくない主義もあるけどね」
緋那の口調。
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