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暖色の明かりが漏れる、二両の茶色の旧型客車を連ね、一両のタンク型蒸気機関車がホームに入線してくる。蒸気と共に舞い上がる雪。 連結器同士が絡み合う鈍い金属音。ゆっくり減速していく短い編成。減速も終わらぬうちに、二両目最後尾の車掌室から、ダブルボタンの外套を纏った、ツインテールの小柄な少女が飛び降りて来た。 「おやおやまあまあ、今日は可愛らしいお客様じゃん永遠子様。しかもお雪の駅からときたもんだ」 「!?」 反応したのは舞雪だった。茫然自失の態からよろよろと、本当に幽鬼のようにそちらを見た。疲労というより、魂が抜けてしまいそうな瞳だったが、それでも驚きは隠せていない。 「…ふ、藤…おぬし…」 「ははあ、さてはやらかした様子ね、雪」 舞雪のことを『雪』と呼ぶツインテールの少女は、ニヤリと笑ってゆかりと小紫を見た。 「まあ事情はおいおいこの可愛い子ちゃん達に、聞かせて貰うとしましょうか。停車時間は短いものでね、また後で逢おうぜお雪ちゃん」 「待て藤!!!おぬしと会うのを何百年と心待ちにしておいたわらわを!!!」 舞雪がすがるような視線だった。 「しかもわらわの…ゆかりまで連れていくというか!!」 「なっさけない顔してるわねえ。今更何なのよ雪。情に厚いのか未練タラタラなのか。そこの子達の方が余程覚悟キマってるっちゅうに」 そう言って制帽をかぶり直しながら、外套の少女は永遠子に顔を向ける。 「…永遠子様、どうやら手を焼きましたかねぇ、うちの従姉妹に」 「手を焼くも何もありませんよ?」 「まあそうだよね、永遠子様ってそうだよね。私と違って、仏様だし」 「うふふ」 そこで永遠子は微笑むばかりだった。ばさりととんびコートが雪風に翻る。
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