舞雪

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舞雪

―――世の中には人外魔性の世界がある。 一般人として過ごしている人物の大部分が知らないが、この世の中にはそういう世界がある。 霧夜はこの世界に身を浸して長いが、知らない方がいい世界であると疑わない。法なんてものはおよそ通用しないし、弱肉強食が基本である。 その中でサバイバルしていくのは、並大概のことではない。 だから霧夜は先ほどの白い少女を見て、人外であると見抜いたし―――ただの人外や妖怪、異能者ではなく、神の類であると察しもついた。 神。 当然のようにこの世界にいるし、霧夜もそういう類と触れ合ったことも一再ではない。神も色々だ。疫病神もいるし、土地神もいる。 あれはおよそ土地神であろうと、霧夜は察しがついている。 土地神。 大抵は、その土地の神社の神である。 その土地の信仰や地に根差す霊脈、それ自体を力の源泉として力を振るい、その土地の統括者、監視者たる者と言っていい。 ―――あれを敵に回したら、この俺、音無霧夜の計画もほぼ御破算だ。
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