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しかし飛龍は青蝶の肩を抱きしめ、「そうではない」と言った。
「青蝶は騙されていたんだ。あの男に」
「僕が、騙されていた?」
「そうだ。そもそも暁明は、青蝶に売春をさせるためにあの殿舎に住まわせたのだ」
「暁明がそんなことを、するハズありません!!」
「青蝶なら上手いこと洗脳できる。そう針房の長から紹介されていた」
「っ!?」
暁明を『良い人』だと思い込ませ、青蝶を思いのまま操れるように洗脳していったのだと、飛龍は言う。
「暁明は青蝶に、薬を買うためにコッソリ仕事を斡旋する。とでも言ったのだろう? そもそもの目的は其方に売春をさせ、自分が日銭を稼ぐ。そう言う企みだった」
「そんな……暁明は、僕の仕事も応援してくれていたし……体調だって、気遣ってくれて……」
「優しかったのだろう?」
「はい」
「そうやって“優しい男”を演じて信じ込ませたのだ。そうして針房の長と共謀して、青蝶に売春をさせていた」
「長も、一緒に……?」
「そうだ。客引きは針房の長が受け持っていたようだ。そして客から受け取った金を折半していた」
「そんな……まさか……」
飛龍の言うことを受け入れられない。あんなに優しかった暁明が、自分を利用して金を稼いでいたなんて……。
医務室の中から、顧客一覧まで出てきたと言った。その人たちも勿論それぞれ処分が下された。
しかし、話はこれだけで終わらなかった。
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