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其の参拾参
「青蝶の病状が悪化し、視力が低下した時があったな?」
「はい。その時も暁明は、真剣に対策を考えてくれました」
「それは違う」
「違いません!! 暁明は、薬でどうにか病気の悪化が防げないかと!!」
「……違うんだ、青蝶。暁明は其方を薬漬けにし、殺そうとしたのだ」
「そんなこと、しません……」
最後は声も掠れて上手く喋れなかった。暁明が自分を殺そうとするなど、考えたくもない。
しかし、飛龍から直々に取り調べをした結果、暁明は全てを白状したそうだ。
「其方の病状が進み、もうこれ以上は使い物にならない。そう睨んだ暁明は強い薬を与え、難病による薬の飲みすぎで死んだように見せかける計画を立てた。そして其方に大量の薬を与えた。しかし体が動かせる間に少しでも稼げるよう売春を促し、働かせた。目が見えないなら、どんな客だろうが覚えてもいないのも、暁明にとっては都合がいい。最終的に其方が息絶えれば、証拠が残ることもない」
もう何も喋れなかった。暁明に裏切られた自分は、誰を信用すればいいのだ。
生きる為に飲んでいた薬は、殺されるためだったというのか。
「…………っ」
「青蝶? 青蝶!?」
会えない間も、きっと自分を心配してくれていると信じていた。
しかし、暁明の優しい笑顔も全て嘘だったのだ。
呼吸が出来ない。苦しい……苦しい……視界が霞んでいく。
「青蝶!!!」
椅子から倒れた青蝶を、既の所で抱きとめた。
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