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其の参拾伍 ※R-18
予定通り深夜になり、人が寝静まったのを瘰が確認すると、飛龍と共に移動した。
初めて飛龍と出会った時に、来た以来の部屋。あの時は、またここに来る日が訪れるなんて思ってもいなかった。
広くて絢爛な部屋全体を見渡す。
「あの日の青蝶を思い出す」
どうやら、飛龍も同じことを考えていたようだ。
「酷く怯えていた」
「そりゃ、下っ端の僕が、殿下の部屋に来るなど……あの時は、夢を見ていると思っておりました」
「私は浮かれていたんだがな。そして、今も」
飛龍は青蝶の髪に口付ける。
「今夜はもう遅い。早く休もう」
飛龍は着替えを済ませると寝台へと向かった。
天蓋から垂れた布を避けながら、青蝶の隣に腰を下ろす。そのままゆっくりと押し倒した。
「殿下。お昼に話していた、僕からの我儘を言っても良いですか?」
「ああ、構わない。遠慮せず言ってくれ。なんでも叶えてやろう」
「ありがとうございます。それならば、やはり今夜、僕を抱いてください」
「青蝶!! それは慌てるなと言ったはずだ」
「嫌です! もう、ずっと我慢してきたんです。殿下を想っただけで、身体の華が咲き乱れます。前は発情期にだけ出ると思っていたのですが、そうではありませんでした。僕が殿下を想えば想うほど、華は濃くなるのです」
青蝶は止めに入った飛龍の言葉も無視して、夜着を脱いだ。
「あの……見てください。発情期がなくても、僕はこんなにも殿下を欲しているのです」
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