☆シープちゃん☆

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 「そうくるなら……」  ルビィはブツブツとつぶやきながら、トモの簡易布団の上に、アイブロウで計算式を書いていく。  「待てってっ。そんな強く書いたら穴が開くっ」  「うーん。サービス料で二パーセントが妥当ってとこか。知名度の低いアイドルでニパーセント、その後は物乞いのお願いでしょう?その後は五パーで……」  「おいったらっ」  ともに羽交い絞めされて、ルビィはハッと我に返る。  「あ、ごめん」  「ごめんじゃないわっ。うわー、俺の布団、ダサいじゃん」  「いや、そんなムキにならなくても。ビニール袋なんだから、始めからダサくない?」  「……そうだね」  トモは、二十二歳という年齢とムキになった内容を重ねて、耳を真っ赤にした。  「それでさ、ギルド内にカワイイアイドルがいれば、ウィンウィンじゃない?」  「はあ?本気だったの?」  トモは目を丸くした。トモのイメージするアイドルは、前の世界で推していた『アニマルパラダイス』という、夏は動物のカチューシャ、冬は着ぐるみを着てステージ上で一生懸命踊る女の子だったから。  そのアイドルグループも、たった一年で三十人から五人にまで減った。元メンバーの暴露で、パワハラだとか彼氏がいる証拠が出てきて、最終的に学業に専念という理由でしたのだ。  なぜ、『解散』ではなく『冬眠』だったのか。  『アニマルパラダイス』は、入会ファンクラブと動画を見るための有料メンバー登録があって、半年経過しなければ退会できなかった。他にも、グッズ販売で高額商品を売りつけたいため、コアなファンを逃がさないためだ。  冷静な人は気付いて去っていったが、トモはコアなファンの部類で、復活するまで会員費を払い続けると決めていた。  「そんなアイドル、どこにいるんだよ。育成だって大変なんだぞ?スター性も必要だし」  鼻息荒くドヤ顔したトモに、ルビィはウインク。  「ここにいるじゃん?」  「は?ルビィができるわけないじゃん。まず、年齢がさあ」    腕組して品定めをするトモに、ルビィは平手打ち。  「チッ」  「はいはい、そんな何度もぶたれませんよって。あー、ダメダメ。アイドルなら、何があっても笑ってないとさ」  そんなトモを、ルビィはジッと見つめた。  「なん、だよ」  「さてはトモ、あなた、アイドルヲタクね?」
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