☆ルビィと受付の男☆

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 「なんで、あんたは斜め上の回答で攻めてくんの……」  ズーンと重石が乗ったかのように、トモは肩を落した。ルビィは知ったこっちゃないと話を続けていく。  「トモ、あなたこそ何もわかってない。私の命は、トモにかかってるの。失敗すれば死よ?真剣になるでしょうよ」  「あー。はいはい。結局は自分が一番ってことね?俺はどうせ使い捨てですよ……って、いたっ、痛いって」  ルビィは立ち上がると、金のパンプスでグリグリとトモの脇腹に攻撃した。  バチイッ。  次に、湿った音が響いた。顔を上げたトモに、ルビィは思いっきり張り手をかましたからだ。  「おい、くそっ、なんだよっ」  辛い思い出を重ねて潤んでいた目を痛みのせいにし、トモは睨み返す。ルビィは仁王立ちでトモを見下ろしていた。  「あのさ、自らの価値を下げないでくれない?つまんないし、もったいない」  「……は?」  トモは混乱していた。  完全に世の中をなめている。何も知らないルビィが、なぜ、これほどまでに自信に満ちているのか。  この世界に来た時、期待よりも不安のほうが大きかったトモは、石橋を叩いて渡るように、一歩一歩前に進んで、コツコツとレベルを上げていったというのに。  「いい?価値ってのは、いつの時代も他人が決めるの。凹む時間があるなら自分を磨けよ」  「やってんじゃん。やってきたから就職できたわけで」  バチィン。  「つぅ……」  今度は反対の頬。  「ばっかじゃないの?のと、では意味合いが全く違うんだって。まっ、今後は?私が関わるから?すぐに適正価格まで引き上げるけどね?もちろん、トモも私のことを評価していいよ。連れ高で行こうよ」  「あー、もうっ。わけわからん」  「仕方がないよ、初心者なんだし」  「初心者はルビィじゃん」  不敵な笑みを浮かべたルビィは、肩につくぐらいのフワフワな茶髪を耳にかけて屈む。  「ふふ。なんか楽しくなって来ちゃったなー。あなたの可能性を、この美少女の私が全て利用してあげるから、ありがたいと思いなさいねっ」  (ダメだ、こいつとは会話が成立しない)  「はあ。わかったよ。とりあえず、任せればいいんだろ?」  「やったっ」  トモは完全に降伏した。
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