プロローグ

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プロローグ

 「シープちゃん、こっち向いてー」  「はいっ。きゃあ、痛いっ」  「ガハハハ。シープちゃん、ちゃんと前を見ないと……はうっ。シープちゃん、隠さないとっ」  「きゃあっ。ごめんなさい、恥ずかしい」  とある飲み屋。ジョッキ片手に、屈強な男たちは大皿に乗った料理を奪い合い、奥では早飲み対決で盛り上がっている。下品な宴会に似つかわしくないシープと呼ばれた女の子が、一生懸命給仕をしている……ように見える。  どうして曖昧な表現なのか。  まあ、皆様のお察しのとおり、彼女はありきたりなドジっ子なのだ。  ギルド名『屈強な男たち』。見た目そのままのギルドメンバーで、加入条件は『Sランク』と『好実績』のみ。国から依頼が来るほどの特別ギルドで、自らの身を守れないものなど命を捨てるようなもの。その中に弱々しい女の子が一人。その店の従業員かと思いきや、彼女もギルドのメンバーらしい。  「やだあ、私ったら。さっきスカート引っかけたの気付かなくて、スリット入っちゃったみたい。ロングスカートだったのに、もうすぐパンツが見えちゃう」  目を潤ませてチラリと見せた生足は、屈強な男たちの視線を釘付けにした。数人は鼻血を出したことすら気付かない。  「もう、エッチ」  顔を赤らめた彼女に、そっけない男たちも悶絶した。
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