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「ふぁ……っ」
「俺の形、ちゃんと憶えて帰って」
「も……憶えた」
「憶えた? 他のと比べてもわかる?」
「く、比べることなんてないも……っ、あっ!」
「だよな。俺だけだ」
私の中にすべて埋められたものが、再び外に姿を現す。そしてすぐにまた私の中に還っていく。鏡越しに私は目が離せなかった。ゆっくりすると言いながら、次第にそれはスピードを増しながら私の中と外を往復した。終わった頃には、脚がガクガクでもう立っていられなかった。
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