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目が合って、涼がこちらに向かってくる。待って、ちょっと待って。昨日、一昨日とほとんど裸しか見てなかったから、久しぶりの神聖な白衣姿に動悸がしてきた。恥ずかしくて顔が見られない。私、この人と何度も抱き合ったんだ。特に昨日は一日中繋がってた。
「なに下半身見て赤くなってんだ」
「ち、ちがっ……見てな……」
本当は一瞬だけ見てしまったけど、否定するしかない。ただでさえ恥ずかしいのにそんなことまで言われたら、もうどうしていいかわからない。
取り乱す私の反応を楽しむように涼はくすりと笑い、
「すぐ呼ぶから」
と言って外来の診察室へ向かっていった。今のうちに少し落ち着こう。
ほどなくして呼ばれ、涼の待つ診察室へ入った。彼は「お待たせ」と微笑んだ。バッグを荷物置き用のワゴンに入れ、丸椅子に腰を下ろす。すると、私が何も言わないうちから真顔で、
「何? 腰が痛い? 奇遇だな、先生も痛い」
と勝手に言った。実際に腰は痛いのだけど、今ここで涼に言うつもりはこれっぽっちもなかった。それなのにこの男は~~~! またしても赤面してしまう。絶対にそんな私を見て楽しんでるんだ。
「激しい運動でもした?」
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