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雪が降りそうなほどの厳しい寒さのせいで、今日の昼休みは中庭に出る人はいなかった。暖房の効いた教室で昼食を済ませる人が多い。私と愛音もその一人だった。
昨日の診察を思い出していた。なんなの、あれは。私の反応を見て楽しんでるんだから。あんな会話、看護師さんに聞かれたらどうするの。って、聞かれても通じないように言ってるのだから、たちが悪い。私はため息をついた。
涼はエロエロ魔人だ。今日も今ごろは病院で白衣を着て聴診器を首からかけて、キリっとした顔で患者を診てるんだろう。それが私の前で一旦スイッチが入ると、いつかの澄先生が言っていたようにケダモノと化す。まじまじと見られて舐められて弄られる。嫌ではないけど、すごく恥ずかしい。
みんな、ああいうことしてるの? 目の前の愛音も? その前に、涼自身も今までしてきたからするんだ。きっと、麗子さんにも私にしたのと同じことを……。ああ、なんだかものすごく落ち込んできた。
「どうしたの? 百面相でおもしろいんだけど」
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