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会う日は涼が家まで迎えにきてくれるようになった。家の前で待ち、目の前に停まった彼の車に乗り込んだ。
まず買い物をしてから、マンションに連れていってもらおう。でないとまた離してくれなくてデリバリーを頼むはめになりそうだ。
ところが涼の考えはまったく違った。
「また卒業まで我慢しようか」
ああ、先週はいっぱいしちゃったし、さすがに。
「反省?」
「言った通り、止まらなかったろ」
二人して苦笑いをする。
「今さら遅いけど、やっぱり大事にしたい」
「うん」
その気持ちがうれしい。
「あと一カ月もないから余裕だろ」
卒業式まであと一カ月を切っている。その間、涼に会える日曜日は数回だ。お泊まりはしないようにして、キスもなるべく控えよう。触れ合えなくても愛されてる実感があるから、きっと大丈夫だ。
「家にいるとしたくなるから、今日はこのまま出かけよう」
先週も先々週もちょっと不健全だったものね。外でデートするのは久しぶりだし、ちょうどいい機会だ。
海沿いをドライブする。冬は空気が澄んでいるから、海の色も空の色もきれいだ。のんびりと散歩をしている人や、ランニングやサーフィンをする人の姿が見える。
「愛音ちゃんと卒業旅行しないの?」
窓の外を眺めていたら涼が訊ねてきた。
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