この恋が叶わないことは分かっていた。

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世の中の女子高生の多くがきっとそうであるように、私にも想いを寄せる男子生徒がいた。南野良介、野球部の主将をやっていて、見た目は武骨な感じだけど、優しくて、何というかそのギャップにやられたところもある。 クラス内では同じグループで、教室ではよく話すし、休日にはグループのみんなでカラオケに行くこともある。「美香とデュエットすると、気分が乗るんだよな」なんてセリフを言われて私の心はがっちりつかまれて、そんな気持ちを彼が知っているのか知っていないのか分からないが、脈ありというか、射程圏内というか、手を伸ばせば届く恋、そう思っていた。 しかし、目の前の光景は、私のそんな想いを一瞬で粉砕するほど、強烈だった。月明かりだけが頼りの真っ暗な公園で、二人の男女が抱き合っていた。坊主頭で学ランの男性、見間違えようがない、それは、良介だった。そして、セーラー服の女性、違うクラスで話したこともないが、それも間違いなかった。小原翼、学年で一番の美人だ。 私は公園の外で、その光景を呆然と見ていた。二人は私がいることに、気づく様子もなかった。
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